料理研究家、黒川陽子。「KY-キッチン」主宰。キッチンライフの基本を含む食のあり方を研究。
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2007/10/07
横浜の梅「杉田梅」

 取材先で出会った「杉田梅」。九州出身の私には初めて聞く名前で、その形の大きさや果肉の厚さから和歌山の南高梅かと思ったら、天正年間(1573年〜1592年)に小田原北条氏の家臣間宮信繁により、戦陣用の梅の木として横浜の杉田という地に植えられたものだそうです。最盛期には数万本の梅のある名所としてにぎわいを見せていたそうですが、土地開発により伐採され、杉田の地には1本も残っていなかったそうです。ある日、その歴史を知った住民が、小田原に移植されていることを突き止め杉田に住む有志の動きで、現在約200本の梅の木を小田原から持ってきて梅林再生に力をそそいでいるということです。この梅は他の梅に比べるとクエン酸の含有量が高く、酸っぱいのが特徴だそうで、梅酒を作っても美味しいということでした。
 一度は住民の手から離れた「杉田梅」が、有志の熱い願いにより、再び杉田の地に梅林が復活されようとしている話に感動しました。今、全国で消えそうなものを守ろうという試みがあります。今回の例のように、その地では、途絶えてしまっても他の地で守っていてくれた為に再びその地で復活させることが出来たというのは、とても幸運なことことなのかも知れません。近年、知的財産権ということで、その場所だけで囲い込み、他の場所に出さないというようなことが行われています。万が一それが途絶えてしまった時の事を考えると、果たしてこれでよいのでしょうか?また、その物自体のルーツ又は、もともと何処から来たかを考えると、果たして囲い込みということは倫理的によいことなのか、考える必要があるのでは?とこの梅を通じて考えるようになりました。

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